〒142-0064 東京都品川区旗の台2-1-22 もとまる2号館 2階
MENU

夜尿症|旗の台アレルギー・こどもクリニック|「旗の台駅」徒歩3分の小児科・アレルギー科・内科

夜尿症

夜尿症Enuresis

どのような病気?

5歳を過ぎても週に2~3回以上の頻度で、少なくとも3ヵ月以上連続して尿失禁(おもらし)を認めるものを夜尿症と言います。7歳児の夜尿症のお子さんは10%程度とされ、その後年間約15%ずつ自然治癒していき、成人に至るまでにはほぼ全例治癒すると考えられています。男女比は約2:1で男児に多いとされています。ご両親のどちらかに夜尿症の既往がある場合、40%のお子さんに夜尿症が出現するとされていますが、明らかな原因はまだわかっていません。

夜尿症

どうして起こるの?

夜尿症は親の育て方やこどもの性格の問題ではありません。夜寝ている間の尿量が、膀胱に貯められる尿量より多いと夜尿症につながります。夜尿症は、睡眠中に膀胱がいっぱいになっても、尿意で目をさますことができないという覚醒障害を基礎としています。この覚醒障害に抗利尿ホルモン(夜間睡眠中に多く分泌され、尿量を少なくするホルモン)の分泌不足による尿量増加や、排尿抑制機構(尿を膀胱に溜めておく機能)の未熟性による膀胱容量低下が加わって起こると考えられています。つまり夜間尿量が多くても尿意で覚醒してトイレで排尿するか、膀胱容量が夜間尿量を上回れば夜尿を認めません。また膀胱容量が小さくても、夜間尿量がそれ以下であれば夜尿は見られません。この考え方に基づいて、小児の夜尿症を夜間尿量と膀胱容量のバランスから、①夜間尿量の多い多尿型、②膀胱容量の少ない膀胱型、③両者がみられる混合型の3つのタイプに分類しています。

夜尿症

どのように診断するの?

夜間尿量の測定や膀胱容量の測定を行い、病型分類を行います。昼間の最大1回排尿量(mL)を測り、これを体重(kg)で割った値が5mL/kg以下なら、膀胱容量の少ない膀胱型の夜尿症が疑われます。夜間尿量が多いかどうかを知るためには、実際の夜間尿量を測ります。夜尿の量は、おむつの重さの変化(使用後のおむつの重さから使用前のおむつの重さを差し引いた量)でわかります。夜尿量と起床時の排尿量を加えたものが夜間尿量で、6~9歳で200mL以上、10歳以上で250mL以上あれば、夜間多尿型の夜尿症が疑われます。

夜尿症

どうやって治すの?

まずは生活指導として、①中途覚醒を強制しない、②夕方以降からの飲水を控える、③膀胱容量の拡大(尿を膀胱に十分に溜められるようにすることを目的とした排尿抑制訓練)を行います。生活指導で改善(1ヵ月の夜尿回数が半分以下に減少する)がなければ、薬物療法やアラーム療法を検討します。
治療法は病型によって使い分け、多尿型には抗利尿ホルモンを寝る前に補充する治療を、膀胱型には、抗コリン薬による尿を膀胱に溜めておく体の機能の改善やアラーム療法を、混合型にはこれらの治療の併用を行います。アラーム療法は夜間おもらしの始まった時にアラームのスイッチが入り、お子さんを音や振動で覚醒させるもので、3ヵ月で60%程度のお子さんに有効です。なお、頑固な便秘は膀胱容量を小さくする可能性があるため、便秘をしないように留意して下さい。味の濃い食事をとると水分を多くとってしまいますので、夜間多尿型では塩分コントロールも大切です。